もりたの雑記

参加したイベント等に対する感想をつれづれなるままに。

サイボウズ株式会社主催チームワーク経営シンポジウムと株主総会に参加してみた

はじめに

2019年3月30日、サイボウズ株式会社主催の経営シンポジウム2019「新しいカイシャと
ティール組織について語ろう!」に参加しました。ついでに同時開催されていた株主総会にも耳を傾けました。株主総会と言いながら株主でも何でもない自分も株主総会を覗くことができる…、普通の株主総会がどのようなものなのか全くわからないのですが、かなり特殊なのかなと思いました。

cybozu.co.jp

概要は上のリンクからお読みください。

サイボウズティール組織の親和性

初めに青野さんの方からサイボウズに関する説明とティール組織とサイボウズの共通点についてお話がありました。

hatarakigai.info

サイボウズは働きがいのある会社第二位だそうです。(のちに株主総会でおっしゃってましたが、働きがいは結果でしかなくて、そこを追い求めているわけではないそうです。)そんなサイボウズティール組織の親和性については以下の四つを挙げていました。

  • 情報共有の密度が高い

→経営会議の内容は議事録でその日のうちに社員に共有される

  • 紛争解決のプロセス(意見対立を解決する方法)を個々が持っている

→新人の研修からそのような意見対立を解決する教育を行っている

  • 自分の役割以外のことであっても何かを行う責任を持つ

→どんなことでももやもやしたりわからないことがあったら質問する責任がある

  • 個人に対する報奨金(ボーナス)の廃止

→チームの成果に応じた報奨金の設定(個人間の差はない一律)

 

サイボウズの1ファンなのですが、毎度毎度、「とても素敵な会社ですねサイボウズさん」って話を聞くたびに思います。

ティール組織とは

自分がサイボウズさんのことをどれくらい好きかについて話すときりがないので、今回の主題であるティール組織について学んだこと感じたことを記載します。

 

[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

 

 詳しくはこの本を読んでいただけると理解できるそうです。買おうかな…。(積読している本に目を背けながら)

ティール組織は性善説に基づいたマネジメントの側面が強い組織のことです。例えば、ある工場において道具を保管している倉庫で物が盗まれたとしましょう。普通ならば、倉庫に対してカギをかけて、より厳しい管理体制を敷きますが、そうではなく貼り紙をするなどして、個人の意識に働きかけるマネジメント方法をとる、これがティール組織の一例だそうです。

ティール組織を語るうえで大事な二つの切り口

今回はシンポジウムにいらしていた嘉村賢州さんからティール組織を語るうえで大事な二つの切り口をご教授いただきました。

一つ目は歴史の切り口です。

cybozushiki.cybozu.co.jp

この歴史の切り口についてはこの記事に詳しく記載されているので、割愛させていただきます。実際に会場で組織が何色か尋ねてみると、ほとんどの人がオレンジと答えていたのが印象的でした。そして何よりも驚いたのが、青野さんも「オレンジ色」だと答えていたことでした。てっきり、「グリーン」か「ティール」だと答えると思っていたので、そのことには大変驚きました。(ちなみに弊社はゴリゴリのオレンジだと思っています笑)

二つ目は3つの特徴の切り口です。ティール組織には三つの特徴があり、これが以下になります。

  1. 自主経営
  2. 全体性
  3. 存在目的

一つ目の「自主経営」は、これは自分のことを律することができるとかそのようなことではなく、上下関係による組織構造が完全に破壊されていて、全員が意思決定権を持っていて、そこには指示命令型のマネジメントが存在しない状態を指しています。

二つ目の「全体性」は「なぜ職場で友達と話すようなありのままの姿を出せないのか?」という問いの元、人間がありのままで情熱をもって仕事に取り組むことのできる状態を指しています。

三つ目の「存在目的」は中長期的な目標を設定せずに、刻々と変わる現状に都度都度アジャストしていく、そういう組織のことを指しています。というのも目標を立てることで、自分に色眼鏡をかけてしまい、本当にやるべきことが目標によって変わってしまうからです。誰の中にでもある内なる指針、それに従っていれば、目標がなくても会社は回るそうです。

私は会社から半期の目標設定を求められたときにとても困った記憶があります。なぜなら、自分にそんな目標はないですし、せっかく立ててもその目標を達成しなければならないということも忘れてしまうからです。そんな目標に何の意味があるのか、とずっと感じていました。もちろん目標をきっちり設定して、それを達成していく人もいます。そんな人をずっとうらやましく思っていましたが、自分の中にある得体のしれない内なる指針、そういうものに従って生きていってもいいのだと少し勇気をもらえました。

パネルディスカッション前半戦

ティール組織の説明があったのち、登壇者による組織についてのパネルディスカッションがありました。前半戦は登壇者によるフリートーク、後半戦は会場にいる人からの質問に答えるという内容のものでした。まずは前半戦のうち、自分の心に響いたものを列挙していきます。

  • 「みんなが幸せになる」ことと「結果を出す」こと、このどちらかを追うのは簡単であるが、両方を追うのは難しい

→しかし、人が生きる目的を考えたときには「幸せになること」であるのだから、そっちに軸足を置いてもいいのではないか

  • 利益は「うんち」!?

渋沢栄一著の『論語とそろばん』内にある「まずはいいことをやれ、結果はそのあとについてくるカスのようなものだ」という考えから。まずはいいことをやるのが大事。

  • ティール組織にあるアドバイスプロセス(意思決定のせいに専門家に意見を求める必要性がある)の存在

→ただ、流される必要もないし、意固地になる必要もない。

  • たった一度の人生において会社で鎧を着て効率的に働く意味って何?

→現状の株式主義では目に見える結果が求められるので、結果が出やすいオレンジやグリーンの組織が何かと都合がいい。

→この根本である主義が変われば、日本にはまだない完全なティール組織が出現するのではないか

  • ティール組織は決して万能な組織ではなく、個々人にあった組織は様々である
  • 優秀な会社とは「思いやり(優しさ)がある会社」である
  • モチベーションの源泉・・・それぞれの人生に幸せを与えること

→その幸せは「各人各様」。しかし、一番の幸せは「利他」の幸せ(他人にありがとうと言われる幸せ、人に他人に迷惑をかけない)なのではないか

  • 夢の存在・・・人間は弱い生き物だから「目標」がないと仕事ができないが、それだけではもたない

→この会社でこうしたい、というような夢がないと働き続けることができない

  • 組織の進化に終わりはない

→組織をマネジメントしていくと、人の出入り等でひずみが生じる。それに対してなぜ起こったかを考え、対策していくことで組織が進化するので、そこに終わりはない

  • グリーンまでの組織とティール組織の違い

→「未来を予測できる」と考えているのが前者で、「未来を予測できる」ことを捨て、刻々と変化する環境にアジャストするのが後者

  • ティール組織はどんなに良いものでも組織内で標準化はしない

→自分でそれがいい、必要だと思って初めて取り入れてもらうようにする

 

この中でも一番驚いたのは利益に対する考え方です。会社は営利目的である以上、利益を追い求めるべきであると思っていたので、この考え方にはとても驚きました。おそらく会社は社会のためにあるからこそまずはいいことをするのがファーストになっているのだろうなと感じました。

他にも「幸せ」と「結果」両方を追い求める必要性についても再考するきっかけになりました。他のカンファレンスでもいろいろな人がこの「楽しさ」と「結果」両方を追い求める必要があることを言っており、「今の自分はどうなんだ?」と問い直すきっかけになりました。現状では「楽しさ」の側面しか追っておらず、結果は出ても出なくてもという気持ちが強いです。今はそのように確固たる結果を出せるほどの知識がないのですが、常に結果を出すという意識は頭のどこかに置いておくべきだなと感じました。

パネルディスカッション後半戦

パネルディスカッションの後半戦は会場からの質問に答える形式をとっていましたので、これも質問と回答を列挙していきたいと思います。

Q. サッカーチームにとって「生き生きしている組織」とは?

A. 岡田さんがサッカーチームを作るときに意識しているのは以下のこと。

  1. モラルを作る(この場合のモラルは当たり前のことを自然にできるようにするための風土や文化に近しいもの)
  2. フィロソフィーを作る。その一番にはEnjoyを置く。みなプロになると失敗を恐れるようになるが、そうではなく、小学生の頃のゴールをとった時の喜びとかそういうものを忘れないようにしようということ

Q. ティール組織ってどうようにしたら作ることができるのか

A. 留意すべきことは、ティール組織は目標でもなるべきものでもないということ。

     そのうえで、会社全体をティール組織にするには経営者の半年から一年にわたる内省が必要。本にも現場の社員から変えることが難しいという記載がある。

 

Q. 塚越さんは初めからそのように利他が大事だと気付いていたのか

A. 17~20歳まで病気を患っていて、その際に人生は一度しかないことを深く認識する

→その一度しかない人生を幸せに生きるためにどうしたらよいか考えた結果、「利他」が大事だと気付いた

 この「利他」が大事であることは常に繰り返し言っているので社員には染みついている

→経営者は変わっても、根底にある理念は変わっていないのが大事

 

Q. イケてる社長とイケてない社長の違い

A. (イケてない社長)

  社外取締役に自分の同僚や仲間を置いている企業

  メディア出演時にお連れの方が多い経営者(たいていの場合この手の人は自己顕示欲が強い)が経営している企業

     (イケてる社長)

  経営者が大株主

 

Q. 組織のいい悪いの指針 

A. そのようなものはない、勘

     ただいい組織っていうのは仲間意識が醸成されている

  業績が伸びている現状、あまりそこら辺の数字は気になっていない

 

Q. ティール組織の最適な規模

A. 100~200人規模の会社の方がやりやすいが、基本的には規模を問わない

→ITの進展によって、何万人という規模に素早く情報がいきわたる時代になっているから

 

Q. サイボウズは「グリーン」や「ティール」組織を目指さないのか

A. 何のための組織か考えたときに、色を目指すことはそれこそ「我利」の典型例

  現在IT企業はオレンジの組織がほとんど、だからオレンジの色の引き出しを持ちながら、適していればティール組織を作っていけばよいのではないか

 

Q. いいチームに必要な条件

A. 日本人は勝利に徹することができない民族

→「自分たちのサッカー」などの美学を敗戦の言い訳にする

→「勝つこと」と「美学」、両方が求められる

  モチベーションの高さ

→モチベーションには二つある

  1. 自発的に上がるモチベーション(長期)
  2. 周りから煽られて、なにくそと思って上がるモチベーション(爆発的だが短期)

→1からくるモチベーションが大事

例)フェデラーは「勝つことが好き」、それに対して日本人は「負けるのが嫌」

 

Q. 人を採用しているとき、どこを見ているのか

A. 基本的に30分そこらの面接で人となりなんてわからない

→基本的には相性とかフィーリングで判断

→選んだ人は何らかの縁があり、その人からでしか学べなかったことがたくさんあるのだから、採用に失敗なんて一つもない

 <ティール組織の採用>

 従来のスキルでの採用でなく、組織の採用は誰と働くかも当該組織が決めるので、現場に採用権がある

 また、合う合わないを判断するために3ヵ月程度の使用期間を設ける

 

質問が100個近く来てたそうで、かなり厳選しておられました…。(私の質問は読まれませんでした泣)質問の中で、新しい学びだなと思ったのは「種の保存」とそれに対する考え方です。種の保存は競争によって人は2(優秀層):6(普通の人):2(不出来な層)に分かれてしまうという理論のことです。しかし、そこで不出来な人を取り除いても新しい不出来な層を生むだけなので、そうではなく、不出来な層を含めて全体のレベルアップを図ればいいのではないかという意見はとてもうなずけるものでした。モチベーションの話などもとても興味深く、南アフリカW杯の選手はなにくそのモチベーションで勝利をつかみ取っていたんだなと思いました笑

 

株主総会

このシンポジウムの後にあったのが株主総会です。株主総会では、中期経営計画等の発表の後、株主からの質疑応答がありました。株主さんからは鋭い質問が多く、弊社の株主総会もこんな感じなのかなと勘ぐってしまいました。

中期経営計画など

このようなことはサイボウズさんのサイトを見た方がわかりやすいと思うのですが、一応記載しておきます。

社外取締役を設けないわけ
  • 迅速かつ適切な経営判断のため
  • ビジネスはグループウェアの販売等でシンプルな構造であるがため
  • 社内外での情報の透明性が高いのでガバナンスの面も問題がない
理念

「チームワーク」あふれる社会を創る×「チームワーク」あふれる会社を創る

→これをツール×メソッドでサポート

→売上、利益、株価はこの次で理念の実現が最優先

会社の業務の流れ
  1. OA化・・・個人強化がされ、効率が上昇する
  2. IT化・・・ここでも個人が強化され、それ故に格差が生まれる
  3. 共有化・・・チームを強化し、個性を生かす

1から3のように時代は変遷し、今は3の時代なのではないか

Jump5+1
  1. US Jump・・・US事業を軌道に乗せる
  2. Enterprize Jump・・・大企業に使ってもらう
  3. User Jump・・・企業以外の人にも使ってもらう
  4. Method Jump・・・メソッド事業の立ち上げ
  5. Organization Jump・・・会社の規模の拡大に対して楽しさをキープ
  6. Trust Jump・・・社会との信頼関係を気付く

質疑応答

Q. 営業戦略について

A. 現在、大企業に大規模に導入してもらうのが目標

→規模感が問題なので、大企業、小規模から大企業、大規模にするためのプロジェクトが立ち上がっている

 

Q. 配当について

A. 配当に対して数字を決めると、それが目標になってしまう。その時に出た結果から最大限株主に還元していく

 

Q. 女性の働きやすさ等について

A. 女性比率は42%、幹部の女性比率は22%、産休育休制度の使用は述べ81人使用で、13人は男性

→実際、働く場所を問わない、時間も問わないので、制度を使用しなくても育児に携わっている人も多い

  女性、男性でなく、内面的な多様性を認められる会社でありたい

 

Q. Sansan等の他の会社との連携状況

A. Sansanは連携済、アライアンスは現在拡大中

→理念の実現のために、エコシステムが必要、そのエコシステムは内製するのでなく、いろいろな会社と提携することで形作る

 

Q. 転職サイトとのギャップ(働きがいのある会社第2位とか言われる割に)

A.  働きがいは結果でしかない。結果として提供できてるならよいのであり、大事なのは理念の実現

  転職サイトは今いる社員が書き込んでいるものではないので気にしない、今いる社員を大事にする

 

Q. 自己株式の活用法

A. 現在は活用法がないから保有しているだけ、来るべき時が来たら投資するかもしれないし、償却するかもしれない

 

Q. 海外展開について

A. (現状)

  300社程度の導入、7割はローカル企業(ほとんどはNPO)、3割は日系企業

  →競合との差別化に試行錯誤中

  (今後)

  1. 言葉の壁が大きく、これが意思疎通のコストになっているので、この壁は取っ払いたい
  2. この理念に共感してくださる外国の方は多い

 

Q. 地域クラウド交流会について

A. 地方創生のために、現地の人を元気づける施策

  →お金をばらまくだけでは真の地方創生にはつながらない

cybozu.co.jp

詳しくは上のリンクからご覧ください。

おわりに

まずは、運営の方に感謝申し上げたいです。通常なら休みの日にわざわざこのようなイベントを運営していただいて、ありがとうございます。

このイベントを通じて、また一段とサイボウズのことが好きになりました。チームワークあふれる社会を創る理念にまっすぐであることが再確認できたのでとてもうれしい限りです。また一般観覧の方も多く、僕の隣の人は僕と同様にサイボウズのファンでした笑。

来年は株主のから騒ぎにも参加したいし、なけなしのお金で株式に投資しようかなと思う今日このころです。

 

最後になりますが、これからは今日のように即日でイベントレポートを書いていければと思います。少しずつではありますが、自分も変わらなければ。

 つたない文章ですが、お読みいただきありがとうございます。